
ひっつき虫の暗躍する時期になった。
写真はセンダングサだが、
イノコヅチ、ミズヒキ、ヌスビトハギ、
ブラシのようなチカラシバもひっつき虫の一族だ。
ひっつき虫の種をよくよく見ると
トゲのような、フックのようなものがついている。
これで我々のシャツやセーターをひっかけてしがみつく。
あるいは犬や猫の毛にひっついて運ばれる。
木や草の実は鳥が食べて糞を落とすことによって
遠くへ運ばれる。
春になると庭に千両や万両や野バラや山椒の芽が出るのは
庭にくるヒヨドリと四十雀とメジロのせいで
あらぬところにミズヒキの芽が出るのは
庭を歩く野良猫と私のせいだ。
思うにひっつき虫は鳥も食べないほどまずい味なので
人や犬や猫を頼るようになったのかもしれない。
ひっつき虫にひっつかれたとき
その場で払い落とすのは彼らの思うツボというものだ。
できれば新聞紙などのあるところまで移動し
新聞紙の上で丁寧にひっぺがして新聞紙ごと捨てる。
たとえば路上で払い落とすと
翌年はその道端にひっつき虫が生える。
庭に払い落とすと翌年は庭がひっつき虫だらけになる。
私はむかし庭のミズヒキにひっつかれ
愚かにも庭で払い落としたところ
翌年の春に1万本のミズヒキが生えてきたことがある。
思えばあれこそがひっつき虫の陰謀だったのだ。
ところでこれを書いている最中に
おとぼけくんが来てくれた。
あっ、おとぼけくん。ひっつき虫つけてませんか。
「俺はそんなドジは踏まねえよ」
確かに、言われてみれば
おとぼけくんは道の真ん中を歩いていることが多い(さ)