もうずいぶん以前のことになるが
競馬のCMではじめて市川準さんの現場に行った。
競馬の仕事は2年つづき
撮影のときもMAのときも一緒のことが多かったので
市川準さんを観察する機会はたびたびあった。
真冬の競馬場は異常に寒い。
市川準さんはなにやらもこもこした
フードつきの上着で武装していたので
私たちは密かにあだ名をつけた。
そのうち、競馬中継の音声が必要になり
それは本物の実況を使うわけにはいかないので
偽物をつくることになった。
スタッフの名前やあだ名を盛り込んだ馬の名前を考え
スタートからゴールまでの実況をそれらしく書いて
鈴木史郎さんに読んでもらった。
そのニセモノの競馬中継で一着を争った馬のなかに
「ジュンエスキモー」という馬がいた。
そんなこと、こんなこと
他のさまざまな現場のことをいま思い出している。
そういえば早朝ロケのときは
私はお弁当をつくって行くのを常としていたが
いつもいつもタマゴヤキを盗みに来るのが市川準さんだった。
私の目の前ににゅっとのびてきた準さんの箸が
妙に鮮明な印象に残っている(さ)