昔は遠視に近い視力があったので
壁の張り紙を読むために立たなくてすんだ。
長年の文字を読んだり書いたりする仕事で
さしもの視力も落ちていき不自由になったので
眼鏡を作ろうと思い立って眼鏡屋へ行ったら
「あなたの視力は1.5です」と言われたのが
ン十年前だった。
それからさらに年月が過ぎ視力はさらに落ちている。
が、問題は遠くの文字ではなく
近くの文字が見えなくなっていることだ。
老眼というやつだ。
老眼の困ったところは眼鏡に関して真剣になれないことだ。
ずっとかけっぱなしではないので
その眼鏡が自分に似合ってなくてもいいじゃんと思ってしまう。
かけたりはずしたりするので、ついどこにでも置いてしまう。
一生の伴侶という気持が全くないために手入れもしない。
しかも、しょっちゅうなくす。
なくしても100円ショップの老眼鏡で間に合ってしまうので
ますます眼鏡に対する執着心が薄まる。
そんなわけで、私の眼鏡は
会社ならコピー機の上、冷蔵庫の上、
自宅なら台所の野菜入れの中や
風呂場の脱衣籠でよく発見される。
たまに猫の腹の下から出てくることもある。
ちなみにこの眼鏡をつくるときに視力を測ったら
いちばん下の文字まで読めた。1.2だと思う。
それより下には文字がなかった。(さ)