オダマキという花がある。苧環と書く。
苧環は糸巻きのことで
猫がじゃれる毛糸の玉のようでなく
芯が空洞になるように糸を巻く。
その形に似ているので、写真の花はオダマキという。
しづやしづ しづの苧環繰り返し
昔を今になすよしもがな
これは静御前の歌とされる。
(静御前は源義経の愛人で職業は白拍子、水商売とでもいえばいいのか)
この「しづ」は「静」のしづだが「倭文」でもある。
倭文は日本古来の布のことで、麻だろうと思う。
(木綿は比較的新しい布なのだ)
くるくるくるくるとまわる糸巻きの糸のように
静ちゃんは同じ時間を
いつまでも引き戻していたかったのだ。
花の名前をつけられる人は
イメージの天才だ。(さ)