上の写真はポットスティル。
アルコール度7%ほどの「もろみ」は
ここで蒸溜して
アルコール度70%のニューポットになる。
実のところ、この段階で
すでに風味もあっておいしいので
ニューポットをうまい焼酎だと言って渡されたら
気づかずに飲んでしまうだろう。
そんな感じのものだ。
我々が作ったら、と、福士さんは言う。
焼酎は5日でできる。
仕込みに1日、発酵に3日、蒸溜に24時間。
なぜ蒸溜だけ単位が時間かというと
ポットスティルを24時間稼動させて
3回蒸溜するからだそうだ。
しかし、ウイスキーはここから
本当にここからなのだが、
時間の単位が「日」でも「月」でもなく「年」になる。
いま生まれたばかりのウイスキーが世に出るとき
自分はもうここにはいない
我々は未来のために働いている。
福士さんの言葉に、また目からひとつウロコが落ちた。
そうだった。ウイスキーはそういうものだった。
修正のきかない数十年の歳月が蓄積して
やっとウイスキーになるのだった。
いま、あらゆる生産に携わる人たちのなかで
30年後に評価されるものを作る自信のある人が
どれだけいるだろうか。(さ)