写真上と右は山崎を案内してくださった福士さん。
ウイスキーをつくる人はウイスキーに詳しい、
というと当たり前に思えるが
自分らのことを考えてみると
なかなかそうはいかないことがわかる。
ラジオCMはギリギリ中二日で放送局に渡すが
なぜ中二日なのか、
放送の前日ではなぜいけないのか
こんな簡単なことでさえ
誰もが納得できるように説明するのがむづかしい。
でも、福士さんは違った。
何でも知っている。何でも答えられる。
経験の裏付けがあるので
その言葉には情感がありリアリティにあふれ
聞く人の記憶回路というよりも
カラダの中に蓄積する。
福士さんはウイスキーに愛情を持っている。
その愛情があるからこそ
ウイスキーも自分の秘密を教えるのだろう。
私がウイスキーを学び始めたころ
誰かがこんなことを言った。
人はウイスキーのつくりかたを知っているが
ウイスキーがどうしてウイスキーになるかを知らない。
しかし、ここで私は思った。
福士さんがもし知らないことがあるとすれば
それはウイスキー自身も知らないことなのだ。
ゴーギャンの絵のタイトルにこんな言葉がある。
「我々はどこから来たのか、我々は何ものか、我々はどこへ行くのか」
我々だって自分たちのことを知らない。(さ)