美々ちゃんは祇園で小さなバーをやっている。
和風のバーだ。
ウイスキーとビール、気の利いたツマミ。
お腹が空いた人のために夜中まで出前をする
ウドン屋のメニューが置いてある。
美々ちゃんの16歳の写真は舞妓ちゃんの姿だ。
どんな舞妓ちゃんだったかというと
「ワシが手ぇ握ろうとしたらなぁ
イヤーッと叫んでパカパカパカって
おこぼで馬みたいに走って逃げたんやで〜」
という客がいる。
当時の16歳はまったくの子供で
それはどの舞妓ちゃんも同じだったらしい。
舞妓ちゃんだったからには芸妓さんになったのだろうが
その頃の話は聞いたことがない。
ただ、襟替えのときに「大人ってキタナイ」と思った、
とだけ聞いた。
もう何年も会っていない美々ちゃんからお茶漬け鰻が届いた。
京都へ行きたいな。(さ)