「岸辺のアルバム」は多摩川沿いの家に住む家族のドラマです。
1977年に放送されました。
この番組はギャラクシー賞をもらったり
八千草薫さんが主演女優賞をもらったりして評価が高かった番組で、
まさかと思いましたが、youtubeにアップされていました。
八千草薫さんが不倫の人妻を演じたことも話題になりましたが、
何よりも衝撃的だったのはドラマの最後に多摩川が決壊して
家族の住む家が流されてしまうことでした。
この家が流されるシーンはドラマのオープニング映像にも使われ、
しかもそのシーンは本物でした。
実際に家が川に飲み込まれるニュース映像が使われました。
このドラマの元になったのは1974年の多摩川の水害です。
台風16号で堤防が決壊して19戸の家が流されました。
やがて家を流された人たちは国を相手取って裁判を起こします。
この裁判は「岸辺のアルバム裁判」と呼ばれていました。
なぜ裁判になったかというと、
「多摩川水系工事実施基本計画」というものがありまして、
要するに堤防の改修や整備の計画と思いますが、
この基本計画が想定していた水量の範囲内で堤防が決壊していたのです。
これは長い裁判になりました。
12日の台風の日に、いまにも溢れそうな多摩川の映像を見ながら
このドラマを思い出しました。
ドラマというより1974年の多摩川水害を思い出したのです。
多摩川は昔から暴れる川で記録を見ると
江戸時代には「全村流失」とか「全村壊滅」という文字がたびたび見えますし、
昭和になっても「大洪水」「決壊」「氾濫」などの水害が10回ほど
記録されてます。
岸辺のアルバムの水害で流されたのは
多摩川の河原を造成した宅地に建てた家です。
河原というのは川の一部ですから増水すると水没は当然と思うのですが、
治水で安全ということで宅地の認可がおり、
それを信じてマイホームを買い、水害で失うというなりゆきに
なんともやるせないものを感じます。
当時のNHKのニュース映像を探しましたが、
家が紙箱のように流されていくのは見ていてつらいものがありました。
もう誰も思い出さないのかなあと思いまして
ちょっと書いておきました (さ)