2年前の11月7日に胡留さんがやってきた。
もう何度も書いているけれど、胡留さんはいわゆる被災猫だ。
原発20km圏の南相馬市で飼われていて、あの震災に遭い
飼い主の避難とともに置き去りにされ、1年半ほどさまよっていたところを
南相馬の猫おばさんとして名高い吉田さんに保護された。
(なにしろおっとりしている猫なので素手で簡単に捕獲されたらしい)
それから神奈川の
おーあみ避難所というボランティア施設で1年数ヶ月を過ごし、
2013年の11月に私とお見合いをした。
施設の猫は里親を希望する人が来るとアピールという行動をするらしい。
そういえば私のまわりにも白や黒やいろんな猫が集まってきて
なかにはカバンにぶら下がる猫もいたのだが、
私は最初から胡留さんに決めていた。
胡留さんはアピールらしきものは何もしないでただボーッと座っているだけだったが
ボランティアさんによると、それが胡留さんのアピールらしかった。
撫でても抱いても嫌がる様子がなかったので、
胡留さんはめでたくうちへ来ることになった。
来た翌日、DB先生のところに健康診断に連れて行ったら
「デブというわけではありませんが...」と言葉尻を濁された。
言外に多少のダイエットをするようにとの警告が含まれているようだった。
避難所の猫は飢えた経験があるので、どうしても食べ過ぎてしまうのだ。
そのときの体重が4.95kgで、缶詰のフードを食べ始めたら4.6kgに減った。
な〜んだ。ダイエットなんかしなくても大丈夫だったね、胡留さん。
胡留さんは元気にしている。
いっとき悩んだ膀胱炎もどうやら病み抜けて近ごろは症状も出ないし、
大王ともすっかり打ち解けて、
近ごろでは胡留さんが大王を舐めるようになった。
これには本当にびっくりだ。
私なんか、あんなアホタレで巨顔の喧しい弟ができたらはたいちゃうもんね。
舐めてなんかやらないもんね。
でも大王は胡留さんが大好きで、胡留姉さん胡留姉さんと寄っていくから
胡留さんもついに根負けしたのだろう。
上の写真はうちに来て最初のご飯を食べている胡留さん。
最初は「ツルちゃん」と呼ばれていたのだが
名前を考えるときに「TURU」の「T]の字を抜いて「URU」にしたのだ。
ツルちゃんからいきなりデズデモーナや文左衛門に移行すると
猫も混乱するだろうと思われた。
保護主の吉田さんはいまでも南相馬で保護活動をつづけており、
私がフードなどの支援物資を送るときは
「ツルちゃん元気です」とメッセージを入れている。
おーあみ避難所でも支援物資をいつも募集しており、
胡留さん2周年記念でロイヤルカナンのフードを15kg送っておいた。
避難所には胡留さんの先輩後輩合わせて100匹以上の猫がいて
15kgでたぶん二日分くらいだ。
ひどい目に遭った猫がちゃんと生きていくためには
大勢の里親と大量の支援物資が必要なのだとつくづく思う。
下の写真はうちに来てすぐにくつろぎまくっている胡留さん。
避難所のリーダーに連れられてうちに来て、
隠れもせずシャーとも言わず、ノビをして毛繕いをして寝そべって、
「10年もいるような顔をして」とリーダーに呆れられていた。 (さ)