苦難というのはどこにでもころがっている。
先週は亡くなった父がむかし送り返した茶器を
大捜索するという苦難があったが
そのときオマケのように出土したもうひとつの茶器があった。
煎茶用の茶器だ。七福神だ。
清水焼で、京都の五条坂で買った気がする。
買った気がするし七福神になんとなく見覚えはあるのだが、
どういう理由で買ったのか記憶がない。
記憶がないというのは気になるもので
本日再び取り出してみた。
まず急須や湯冷ましをくるんである新聞をほどいてみた。
2006年の徳島新聞だった。
なるほど、徳島新聞ということは、いったん父に送ったものだと判明する。
この「新聞の日付を見る」ということに今日まで気づかなかった自分が
少し情けなく思えた。
2006年といえば父は78歳で、
たぶん80歳前になる前に身辺整理をしようと思ったのだろう。
次に箱書きを読んでみた。読めない...
読めないが、読める文字を手がかりにしてネットで調べてみた。
「村田幸之介」と判明する。
しかし、これにも初代と二代目がいる。
初代と二代目、おいっ、どっちなんだ。
初代は1999年に亡くなっている。
二代目は初代が亡くなるまで名前を継がないので、
買った時期からすると初代だと思うのだが確かではない。
それにしてもこの茶器にまつわる記憶が吹っ飛んでいる。
なんで父に煎茶器をふたつも送ったのだろう。
茶器を見て欲しくなって、
しかし我が家のもうひとりの住人は器を壊す名人なので
安全のために父に預けたというのは考えられる。
器は買って置いておくだけではダメなのだ。
使わないと艶も出ないのだ。
しかし、そういう理由で送ったのか??
う〜〜ん、そんな気がしないでもない。
自分で使っていればそのうち記憶もよみがえるだろうけれども、
我が家はいま、破壊の名人である人がひとりと
それにも増して破壊力のたくましい猫が一匹いる。
このひとりと一匹を名付けて大王グループというのだが、
つまり、昔より破壊力が強化されてしまっているのだ。
そんなわけで、うかつには出せない。
出せないが、思い出すよすがになるかと弁天さまの湯冷ましと
箱の写真だけ撮っておいた。
いま我が家には玉露の茶器と煎茶の茶器が二組づつと
謎がひとつ、存在している(さ)