いまでも私の生まれた町ではお盆は旧盆です。
つまり8月です。
正月はさすがに日本中が新暦で正月を祝うときに
徳島だけローカル正月というわけにはいかず、新暦の正月を祝いましたが
それとは別に旧正月にも餅をついていました。
いまは旧正月に餅をつく家はないと思いますが、
子供のころはそうでした。
桃の節句も旧暦でした。あれは困ったもので、
新暦の桃の節句に桃は咲かず、旧暦だと散っていたような気がします。
しかし、あたりはレンゲ畑で春の花がいっぱいで、
タイミングよく春休みでしたので遊山箱を持って外に遊びに行ったものです。
その遊山箱が上の写真です。
遊山箱は蓋を開けると引出しのように三段の箱が入っています。
お雛さまを飾っているときの遊山箱は、一段めが巻き寿司、
二段めには煮染めや卵焼き、蒲鉾などが入っていて
三段めが外郎(ういろう)でした。
外郎は、まあ羊羹みたいな味の竿菓子です。
毎日毎日、遊山箱を持って川原へ行ったり畑へ行ったりして
野の花を摘んで遊び暮らしたものです。
よくまあ、レンゲ、タンポポ、カタバミにスズメノエンドウ、
蛇イチゴなどの野の花を眺め、
カタバミの根っこを齧り、道ばたのイタドリの茎を食べ、
まったくノーテンキな子供でしたね。
私が子供のころに持っていた遊山箱は桃色で桜の花びらの模様があって
その花びらが螺鈿になっていました。
いまはとても螺鈿の遊山箱なんてつくっていないと思いますが
昔は子供のものでも凝っていましたね。
遊山箱の引出しは下の写真のようになっています。
下の写真はちょいと他から借りてきました。
黒と赤の遊山箱を見較べると、やっぱり黒では渋すぎますね。
一種の玩具なんで、ちょっとかわいい色がいいような。
遊山箱にも本物の漆器はあります。本堅地漆というやつですね。
値段が少々高いだけであるにはあるのですが、どうなんでしょうか。
漆器の上等はなにも遊山箱じゃなくてもという気がします。
たとえば重箱でちょっといいなって思うのが20万くらいでしたっけか。
蒔絵のいいのだと3ケタです。恐ろしくておそばにも寄れません。
それほど漆器というものは高価なものです。
しかも手入れも出し入れも面倒な上に、
古くなって枯れないと味がでない次世代タイプです。
さらにですね、どなたかがくださるといっても
高価な漆器は格調が高すぎて私のボロ家にはおさまりません。
そこで、偽物漆器の遊山箱あたりがご気楽なわけですね。
(繰り返しますが、本物もありますし重箱に較べればはるかに安いです)
偽物といっても木地に塗りをほどこしてあります。
あまりに小さいお子さんだとプラスチックが気楽かもしれませんが、
徳島は木工の産地ですからプラスチックあったっけかな〜(さ)