せっかくの満月だったので
満月が人体に与える影響のようなものをさがそうとしたのだが、
うさんくさい感じのするもの以外はあまり見当たらないので
オオカミ男→満月の夜に変身の根拠というものを調べようとした。
まあ、当然ながらそんなものはない。
オオカミ男はあくまでも物語の世界だ。
古代ギリシャの歴史家ヘロドトスは
東ヨーロッパにいたネウロイという部族が
年に一度オオカミに変身すると書き残しているが、
いくら紀元前とはいえ、それは無理だ(しかも満月とは関係がない)
東ヨーロッパには人がオオカミに扮しておこなわれる祭のようなものが
あったらしいので、たぶんそのことだろうと思われる。
また関係ない話をしてしまうが、
どうも世界の東の方へ行くとオオカミはえらくなるようで
ジンギスカンは天下った青い狼の子孫だし、日本でオオカミは「大神」で
文字通り神さまとして祀られているし
インディアンもオオカミを敬い、オオカミが部族のシンボルになっていたりする。
しかし満月とのかかわりはいまのところ見つからない。
切り裂きジャックは満月の夜に殺人を犯したといわれることがあるが
これも間違いで、
被害者の5人の娼婦が殺されたのは金、土、日の週末だ。
切り裂きジャックは週末が好きだったのか、
ウイークデーは残業とかで忙しかったのか、どっちかだ。
さらに満月のパワーは、交通事故、犯罪、心臓発作、出産を増やすという理論を
提唱したお医者さまがいたのだが
これも後々の統計データで否定されている。
人体のおよそ6割(赤ん坊はもっと多いが)が水で
その水は海水と同じ塩分濃度だから
海が月の引力で満ち引きするように人体にも何らかの作用があるだろうというのが
満月パワーの根拠になっているのだが、
いまのところそれは個人の実感や霊感の域を出ておらず
科学的な実証はないようだ。
それにしても、月の引力ばかりが注目されているが
太陽の引力というのもあって、
地球からあまりに遠いので月の引力の半分しかないけれど
太陽だって潮の満ち引きの手助けをしているんですけどね(さ)