写真の食べ物は「キャラブキの一歩手前」と私が呼んでいるもので
煮汁を煮詰めないでしっとりつくる。
昆布も入れている。山椒の実も入れている。
これはたいへんうまい。
蕗は野蕗というやつで、細くて皮をむくのが面倒くさい。
しかし、面倒だから少なめに買うと後々に後悔することになる。
ついこの間いっぱいつくったのにな〜、もう底が見えてきた。
誰だよ、食ってるやつは。そうか、私だ。
で、器のかわりに使っているのがまたしても陶片で
これは鶏龍山と呼ばれている。
鶏龍山というのは韓国の山で風光明媚、
現在はハイキングコースなどもある観光地だが
むかしはこの山の中腹にたくさんの窯があって
14世紀末の高麗末期から李朝の中期ころまで稼働していたらしい。
この陶片のようなものが焼かれていたのは
14世紀末から16世紀末だろうと思われている。
鶏龍山を素人がひと言でいってしまうと
焼きものに適してはいるがキタナイ色の土を使って、
しかしそのままではあんまりだというので白い土で化粧をほどこして
焼き上げた器....というと身も蓋もないが
まあ、そんなようなものなのだ。
そんなようなものなのだが、
この陶片を見てもたじたじとなるくらい存在感が大きくて
これをいただいた(絵唐津の人とは別人からいただいた)ときは
いいかげん狼狽したのだが、
その日のうちに「キャラブキ一歩手前」を乗せてみたら
案外付き合いやすいやつだとわかった。
どこかに破片じゃない鶏龍山の写真はないかとさがしてみたら
ちょうどいいのを見つけたので、よそさまのブログから借りてきた。
私のような素人が鶏龍山ときいて思い浮かべるのが下の写真のようなもので
白土の化粧の上に鉄絵(鉄を含む顔料で描かれた絵)が描かれている。
まあしかし、私はこういう恐ろしいもののことを深く考えたくない。
もう少し知識は欲しいが深入りするだけの器量がない(財力もないが)
絵唐津にしても鶏龍山にしても、
ひょんなきっかけでいただくことがなかったら
破片すら一生手に取ることはなかっただろうと思う。
それがいま手近にあるのは猫の毛を撫でているような幸福感がある。
この連中のために白瓜の雷干しなんぞを上手につくりたい。
くるくる切るのが下手なんだよな、私は(さ)