この世には名前の美しい花というのがある。
たとえばムラサキ。
ムラサキはその名の通り紫の染料ができるが花の色は白い。
上の写真は白糸草で、白糸というよりは瓶を洗うブラシに似ているし
まあ贔屓めに見ても糸くずのようなものだが
この花を白糸と名付けた昔の人はえらい。
ところで白糸草は百合科だがバラ科に唐糸草という花がある。
唐糸草は白糸草よりも背丈が高く、
糸の部分が密集しており、色も赤紫だ。
「ええ〜っと、あっちが白糸草だからこっちは赤糸草でどうだ」
「ぜんぜん赤じゃないじゃん」
「だって赤紫糸草だと呼びにくいだろ〜がよ」
「ムラサキブラシとかさ」
「この時代はブラシなんかね〜んだよ」
「じゃあムラサキビンアライ」
「瓶洗いっておまえ...」
「じゃあ、ムラサキクシノハ」
「櫛の歯はちょっと無理だろう」
「オコッタネコノオ」
「なんだそれ」
「怒った猫の尾」
「後世の人に何考えてんだって言われるぜ」
「やっぱ糸だよな」
「○糸草の○の部分を考えようよ」
まあこんな会話があったかどうかは知らないが
植物の名前をつけるのはなかなかタイヘンなことだとは思う。
ちなみに唐糸は絹糸のことらしい(さ)