「その先の日本へ」という
秋山晶大明神の美しいコピーを締めくくりにして
60秒のラジオCMをつくったのは大昔といってもいいくらいの頃だった。
新幹線の「つばさ」が開業したときのことだ。
その先の日本は行ったことがある。
かろうじて秋田の土地を踏んでいる。
「つばさで山形へ、その先の日本へ」の山形を
山形市、山形駅と狭義な解釈をすれば
酒田や温海温泉などもその先の日本に含まれると思うが
「つばさ」に乗ったことがなかった。
酒田も秋田も新潟まわりの日本海コースで行ったからだ。
6月8日の東北行きははじめて「つばさ」に乗る旅でもあった。
東京は雨が降って肌寒かったが
乗って1時間も走ると晴れてきた。
たぶん栃木を過ぎ、「東北」の縄張りに入ったあたりだと思う。
東北はまだ梅雨入りもしておらず
青空にのんきそうな雲が浮かんでおり山が近くなると緑も濃かった。
私は山が好きで、といっても登るのが好きなのではなく
山のなかを列車で走るのが好きなのだが
福島を過ぎたあたりから山の気配が濃くなってきて
それと同時に駅が新幹線の駅とは思えないくらい親しみ深くなってくる。
山形市はだいたいが奥羽山脈と出羽山地の隙間に開けた盆地だ。
かなり広範囲に山をどかしているので土地は広々としていて
挟まれて窮屈だという感じはしないが
よく見ると四方八方に山が控えている。
なにかあったら駆けつけるぞという距離に山があって
これがどうもうらやましい。
町なかの公園も広くて余計なデザインがない。
こういうのを見ているとデザインって窮屈だと思ってしまう。
ところで、山形まで何をしに行ったのだときかれるとたいへん困るのだが
1時間ほど話をしたら役目は終わり
あとは街をふらふら歩きまわって夜は酒を飲んで寝たという
本当にそれだけなんです、すみません(さ)