石巻に
木の屋という水産メーカーがあった。
水産メーカーというと大げさなくらい、
要するに日本一小さな缶詰工場だった。
それが津波で流された。
直売所と事務所は外郭のみ無事に見えるのだが
中は瓦礫で踏み込めない状態、工場は跡形もなく
倉庫は写真で拝見するに壁の一部が残っているように見える状態。
そんななかでも缶詰は残っていた。無事なのは缶詰だけといってもよかった。
瓦礫に埋もれてラベルは泥まみれだが缶詰なので中身は無事だ。
その缶詰を震災4日めから社員一同で掘り出し、
貴重な食料としてみんなで食べはじめた。
やがて缶詰を買い取ってくれる人があらわれた。
遠くのイベント会場などで直売もできるようになった。
缶詰を掘り出すボランティアも来てくれるようになった。
汚れたラベルを剥がし、
流されなかった社員の家の庭でみんなで缶詰を洗って販売所に運ぶ。
1000個が売り切れようとするとき、販売していた社員は泣いたそうだ。
いまこの缶詰が再建のパワーになっている。
ひとつ300円、中身がわかるものはマジックで書いてあるが
ラベルが剥がれてわからないものもある。
サバ、鯨、カレイ、イカ、何が当たるかわからない。
それでも買ってくれる人がいる。
各地の会場に社員を派遣して売ると交通費もかかるわけで
利益がいくらになるかわからないが
それでも仕事ができるということが再建の希望になっていると思う。
この缶詰のサバは毎年秋になると石巻港で水揚げされる
金華サバで
関東では高値になると一匹が2〜3万になるという名物のサバだ。
近ごろでは漁獲量が減っており、幻のサバともいわれている。
ラベルのないものは東京の経堂の商店街で売っていると思うが
いま調べてみたら、新しく簡易ラベルをつけたものが
フジテレビの通販でひとつ400円で売っていた。
http://eshop.fujitv.co.jp/fulldesign/B020001/B020001-1.html
私はこの缶詰を6個3000円で買った(巨大な缶詰だ)
TCCパーティの被災地のためのオークションに
石巻へ行った人から出品されたものだ。
金華サバというものを食べたことがないので食べてみたいが
うまくてまた食べたくなったらどうしよう。
この日本一小さな缶詰工場は、
この秋のサバの時期にまた缶詰をつくれるのかしらん(さ)
ところでこの缶詰拾いは6月が正念場だそうでボランティアも募集しています。
木の屋Twitter:http://twitter.com/yuya_kimura
下の動画はyoutubeで見られる木村社長の挨拶(応援イベント会場で)