まず東海新報のことを説明すると
これは岩手県大船渡市に本社を持つ地方新聞である。
旧気仙郡、現在の陸前高田市、大船渡市、住田町を基盤にして
およそ17,000部を発行していた。
この新聞社がえらいのは「教訓を生かす」ことを
きちんとやってきているところだ。
1960年のチリ地震のとき、三陸沿岸は6メートルの津波に襲われ
大船渡市では53名の死者が出た。
当時東海新報の現社長は高校生だったが
浸水で機械が壊れて1週間も新聞が出せなかった悔しさを忘れなかった。
このときの経験から、
東海新報はまず不便をしのんで社屋を町はずれの高台に移転し
しこたま借金をして自家発電装置を備えた。
この備えが今回生きたのだ。
東海新報は3月11日の震災の翌日からも新聞を発行しつづけた。
3月12日だけはカラーコピーの新聞だったが
次の日からは輪転機でちゃんと印刷した新聞を発行していた。
電話もネットも繋がらなかったとき、
もし繋がったとしてもパソコンも使えず携帯も持っていない人、
ことに自宅避難者は情報のない不安のなかで過ごさねばならず
わかりやすく紙に書いた情報がどれだけ貴重かということを
思い知った人は多いと思う。
東海新報の従業員は40人、行方不明者もいるし
家族を失った人もいる。
そんななかで社長は社員のために昼食をつくり
社員が手分けして新聞を避難所や販売店に届けている。
「電話もネットも通じないいまだからこそ頑張らねば
新聞なんて便所紙以下だろう」と
東海新報の記者のTwitterに書いてあった。
と、ここまで説明すれば東海新報の勇ましさをご理解いただけると思う。
ネットの通信網が破壊されたために
東海新報は新聞を出しつづけながらもホームページは更新されず
せっかく地元で取材した内容が我々に伝わることもなかったが
ほんの数日前、やっとネットが回復して
「Web東海新報」が更新されるようになったのだ。
東海新報の記事は被災地の情報としても貴重だが
実は「世迷言」というコラムが面白い。
あまり面白いので、無断で申し訳ないがひとつ切り取って貼ってみた(上の画像)
さすが東海新報らしく勇ましいコラムなのだ。
もっと読みたくなるでしょう。ここですよ(さ)
Web東海新報:
http://www.tohkaishimpo.com/