電車に乗るときは活字がないといられないので
カバンの中に活字のものがまったくなかったとき
駅の売店で安直な時代小説を買った。
29ページまで読み進むと
「風に胞子が乗って戸田川を渡り、土地に移植されて季節外れに咲いた桜草か」
と書いてあった。
おいおい、桜草は種子植物だぞ、種はできるが胞子はできない。
うっかりこんなもんを読んで、
桜草の胞子が飛ぶなどと思い込む子供がいたらえらいことだ。
どうもいろいろ突っ込みたくなることが多過ぎる。
「棟梁、無沙汰は相身互いだ」
これも困る。相身互いはそういう意味ではない。
なぜ素直に「無沙汰はおあいこだ」と書けないのだろう。
本当に厄介な作家だ。
さらに困ったことに、この時代小説は今年の春から
NHKでドラマになっていたらしい。
まだ続いているのか終わったのかは知らないが、
そのドラマで桜草の胞子は登場したのかしら...
でもって、間違い探しにはまった揚げ句、
この間違いだらけ安直時代小説をもう一冊読んでしまった。
「法要を済ませた。さらに用意された斎をなごやかにかこんだ」
というくだりがあり、斎にわざわざ「さい」とフリガナを振ってあった。
本当に困った作家だ。
お斎といえばお寺で出される食事のことで
この小説に出てきた「斎」も法要の参会者に対して
お寺が用意してくれた食事のことだろうけれど
それにしても、「さい」ではない。
「とき」と読むことを知らんのか、おのれはっ!
私の家では「お」をつけてお斎(おとき)言っていた。
いまどこかにないかとさがしたら本願寺のHPで発見。
御正忌報恩講「お斎(とき)」お申し込み...とフリガナを振ってある。
こんな小説があるようではフリガナを打ちたくなる気持もわかる。
http://www.hongwanji.or.jp/news/info/post-142.html
なんだか間違いさがしにはまりつつある自分が怖い(さ)