食べるとうまいが、つくるのはタイヘンである。
私は原始的なつくりかたをするので、
ただ単にフライパンにベーコンを入れて蛍火で1時間くらい脂を出す。
すると疑似カリカリになるので、その日に食べるのはこれでいい。
が、保存するには真のカリカリにせねばならず
疑似カリカリをオーブンに入れて数十分、
焦がさないようにじわじわと脂を抜く。
あ〜、面倒ではないが暑い。
真冬なんぞは1キロのベーコンをカリカリにすると
午前中から取りかかっても日が暮れる。
そのかわり暖房がいらない。家中が暖かくなる。
それを、なぜ、昼間の気温33℃の日にやろうとするのかっ!
さすがに1kgはやる気がしない。200gである。
がっ、台所が暑い。
そもそも午前中からマリネを2種類つくっている。
マリネは冷たいので暑い日に野菜を食べるにはいいけれど
つくるときは暑い。
烏賊を茹で、玉葱とピーマンを刻んでドレッシングに漬け
ブロッコリーを茹で、玉葱を茹で、セロリを茹で
胡瓜を茹でて、ニンニクを潰し生姜を刻んで
トマトを湯むきしてトマトのマリネ液に漬けた。
それだけでは飽き足らず、枝豆を茹でて実を全部出して
ほぐして洗いまくった生タラコと煮た。
この煮物はうまい。
しかも、何をトチ狂ったか、
メインのおかずは「おでん」であった。
午前中から大根と蒟蒻と白滝を煮はじめて
大鍋をエンエンと弱火であたためている。
自家製のツクネまでつくった。
なんでこんなに火を使うものが好きなのかわからない。
なんでこんな暑いものをつくりたいのかわからない。
しかし、食べる人たちは暑くない。
夕方、すべての火を止めて家の外に水を撒いた。
庭の木にも葉水をかけると風の温度が下がる。
めでたく晩ご飯となり
一日中暑い台所にいた私は何も食べる気がせずに
ひたすらソーダ割りを飲みつづけていい気持になって
けんちん汁を出すのを忘れた(さ)