ライブハウスで聴く楽器の音や人の声は
すべてマイクを通しているものであって、生ではない。
その音は、共鳴する箱としてのライブハウスの構造や
設置された機材や、そして何よりも
ミキシングを行っているミキサーの腕と理想に左右されている。
要するに、完全に作られた音である。
これらは相互に影響し合うので
同じ機材でもミキサーによって音の印象度が違うわけであるし
同じミキサーで音が良かったり悪かったりするのは
こりゃもうライブハウスとその機材の違いに決まっている。
ミキサーにはつくりたい音の理想というものがあって
そのための機材であり技術であるのだが
ミキサー本体と小型の機材は持ち込めても
さすがにスピーカーのような巨大なものは持ち込めない。
(ミキサー本体はたとえスピーカーより巨大でも持ち込みは可能で
技術はミキサー本体に付随しているので、これも持ち込み可能)
Tokyo Copywriters' Street のライブは
まずライブハウスの音を信用しないという
非礼な考えからスタートしているので
日本でいちばん機嫌が悪く腕の良いミキサーを擁してしまっている。
ライブはまだ二回めだが、
ライブハウスに左右されるもの以外は初回も今回も同じ条件だ。
違うとしたら「日本一機嫌の悪い」が「世界一」になるくらいだが
それはあまりに恐ろしくて考えたくもない。
今回のライブは「音がよかった」と数人にほめられ
それに関してはまったく同意見なのだが
しかし、それはつまり前回のM荼羅の音が良くなかったことを
意味するわけでもある。
日頃はスタジオという縄張りで
日本一機嫌が悪く腕の良いミキサーのつくるいい音を
当然のようにして聴いていることが多いので
たまに縄張りから外に出ると考えさせられることが多い(さ)