うちの庭は松やマキのように手のかかる高価な木はなく、
雑木ばかり植えている。
それも落葉樹がほとんどで、冬はやたらと寂しい。
そのかわり春の芽吹きを楽しめる...といってもそれは一瞬で
すぐに葉がわさわさと茂ってしまう。
上からは木のわさわさで、下からは草類のわさわさで
年の半分くらい藪蚊の巣窟だ。
その藪蚊の巣窟に足を踏み入れて、夏は毎日鉢植えに水をやるのだから
どうにもたまらない。
長袖長ズボンでもボコボコに刺されて腫れ上がって、
ときどきマンションに引っ越したい衝動にかられる。
それでも、それでもなのだけど、
春の一瞬はいいものだなあと思う。
上の写真はクロモジのちっぽけな花で、
そもこのクロモジが主軸が枯れて脇芽(?)のような部分が主軸に取って代わって
なんとか体面を保っているというありさまなので花もしょぼい。
しょぼいけれども、ああちゃんと咲くんだなあとなんだかいとしい、
玄関のアブラチャンにも塩の粒みたいな小さな花が咲く。
庭になければこういう木に花が咲くことすら気づかず、
種ができるのだから花が咲くのは当然だという自然の理にも
気づかなかったんだろうなあ。
植木屋が涙ぐむのではないかと思うほど
手入れのしがいのない雑木ばかりの庭だけど、
やっぱり春はいいもんだ (さ)