ディープな築地にある飲み屋の女将さんが
小鳥のお礼の話をしてくれた。
毎日、残りご飯を二階の窓に置いておくと
小鳥が通ってくるようになった。
そんなある日、窓の手すりに小さな種が一粒乗っかっていた。
「ははあ、これは小鳥のお礼だなと思ったのよ」
これはいい話だ。
しかし、この種というのはたぶん糞とともに排泄されたものだ。
小鳥は木の実草の実を食べて種を排泄する。
それが窓の手すりではなく庭に落ちると写真のようになる。
見渡す限り何かの芽だ。
この辺の鳥が食べるものはたかが知れていて、
だいたいがセンリョウ、マンリョウ、南天だ。
ろくなもん食ってないなあ、君たちは。
どうせ種を持ってきてくれるなら
かねがね欲しいと思っているシロヤマブキとかね、沙羅とかね、
そういうのがいいんだけどな。
とはいうものの、いかんせん鳥どものやることなので
あくまでもセンリョウ、マンリョウだ。
センリョウマンリョウが庭中に生えてくる。
これらがみんな一人前のセンリョウマンリョウになるわけではなく、
ほとんどが淘汰されてしまうので放っておいてもいいのだが、
放っておいて淘汰されなかったのだけを抜けばいいのかもしれないが、
どうにも気になるのでちょくちょく抜いてしまう。
数十本抜いても減った感じがまるでしない。
もういらないから。
お礼なんていらないから。
次の冬はどこか土じゃないところでウンコしてちょうだい (さ)