このところ家の中のホコリやゴミの8割がたは大王の抜け毛で構成されている。
階段に散る抜け毛、廊下に舞う抜け毛。
それらは抜け毛単体で存在するが、
スライド式の本棚のあまりスライドしない奥のあたり、
通常ならばワタボコリがありそうなところには
大王の毛がからみあった得体のしれないふわふわしたものがある。
大王の毛のせいでワタボコリになりそこなった何かかもしれない。
夏はせっせとブラシをかけた。
なにしろいまはフカフカの毛になった大王なので
毎週ブラシをするたびに大量の毛が抜けて
しまいに背中のあたり3センチ四方の毛がやや薄くなったように見受けられた。
しばらくブラシをやめてみるか...
そして雨が続き、気温が下がり、秋になった。
ところが、秋になっても家中に大王の毛が漂っている。
あまりにもあらゆるところが毛だらけになるので
ついにブラシを敢行した。
背中もお腹もブラシブラシ、足も手もブラシブラシ。
ゴロゴロいいながら毛の海で泳ぐ大王、転がる大王、滑る大王。
こらっ、じっとしてろ、大王。
尻尾で抜けた毛をあおぐ大王、毛を食べようとする大王、
ブラシをする手に噛みつく大王。
ああ、本当にうるさいぞ、大王。
そして大量の毛が抜けた(写真)
背中の毛が薄くなっていたところもとっくにフサフサと自己修復しているし、
大王は一年を通じて毛が生え替わる猫なのだろうか。
そんなに毛を生やすエネルギーがあるのなら
ちっと脳味噌にまわしたらどうなのだろうか。
これだけ抜けたのだからしばらくは大丈夫かというと、
そうではないと思う。
たとえていうなら、大王は掃除機の逆だと思う。
掃除機は抜け毛を吸い込むが、
大王は抜け毛というゴミを年がら年中生産し、
吐き出しつづける存在なのだ(さ)