虎ノ門の金比羅さんです。
金比羅神社とはいわず、金比羅宮といいますね。
この説明をはじめると、ここに何を祀っているのかという厄介な話になります。
だいたい日本の神さまの話が面倒なのは、かつて神仏習合がおこったせいですね。
神が仏教に帰依して仏を守護するなんて説が唱えられていました。
金比羅さんは神仏習合の代表選手で、
金比羅ももとはインドの神さま「クンピラ」だそうですね。
「クンピラ」が、日本で「コンピラ」になってそれを金比羅と書くわけですね。
お釈迦さまを助けた神さまということになっています。仏教系です。
その一方で、金比羅さんのはじまりは
大物主(オオモノヌシ)を祀った神社であるという話もあります。
オオモノヌシはいまいち得体のしれない古い神さまですが、
神さまはおおむね得体の知れない方が怖いと思います。
得体が知れているのは政治によって歴史や正体を上書きされた神です。
さて、全国の金比羅さんの親分は讃岐にあります。香川県です。
象頭山という名前の山の中ほどにあって
1368段の石段をですね、遠足で登ったことありますよ。
若いって素晴らしいですね。いまでは13段でも嫌ですもんね。
山の中腹に位置しているとはいえ、瀬戸内海が見渡せるので
海上交通の神さまです。
昔は航海の安全のためにお天気の観測地がそこここにありましたが
金比羅さんのあたりも観測地のひとつだったのではないでしょうか。
そして、金比羅さんは商売繁盛とか金運のようなこともいわれますが、
これはどうしてだろう。
江戸時代に、○に金の字を書いた団扇を土産品として売り出したそうなので
そのせいでお金の守り神みたいに思われたんでしょうかね??
さて、それでです。金比羅さん=海上交通とすると
虎ノ門に金比羅さんがあるのはなんでだろうなと思うわけです。
海は見えないし、江戸時代のこのあたりは武家地です。
そこで調べてみました。
この虎ノ門の金比羅さんは、讃岐の丸亀藩六万石のお殿さまである京極さんの藩邸に
祀られていたものだそうです。
もともとは藩邸も金比羅さんも三田にあったそうですが、
虎ノ門に引っ越してきたのですね。
京極の殿さまが金比羅さんの信者で、
虎ノ門の金比羅さんは屋敷の守り神として祀られたのですね。
なるほど…
維新になって大名というものはなくなりましたが、
庶民の信仰が集まれば神さまは残っていきますね(さ)