「アタシはタクシーの前は宅配便をちょっとやってたんですよ」
と、運転手さんが言った。
昨日の話のつづきである。こんどの話は究極の速配だった。
「諫早空港から飛行機に乗って」
と、運転手さんは続けた。
ちょっちょっちょっと、宅配便ならトラックじゃないの?
「飛行機はトラックより速いんですねえ」
そりゃそうだけど。
運転手さんの話によると
金に糸目はつけないという究極の速配を頼まれたのだそうだ。
諫早空港から5月3日の連休の最中に
普通席はチケットがなくビジネスクラスに乗って運んだのだという。
「そのときはじめてビジネスクラスに乗りました」
何を運んだかは知らない。
が、その運転手さんの宅配時代の受け持ちは銀座だ。
銀座のどこかにその荷物は運ばれたのだ。
何を運んだのだろう、どこに運んだのだろう。
興味は尽きなかったが、なにしろ710円の距離だったので
根掘り葉掘りきく暇がなかった。
こんどあのタクシーに長距離で乗ってみたい(さ)