ラジオの場でもジプシー生活に必要な機材は多い。
基本はマイクロホンと録音機なのだが、そのマイクロホンが2種類ある。
まずワイヤレスの小型マイクと発信器で、こちらはしゃべる人の衣服にひっつける。
するとその人の声を拾って発信する。
発信器があるということは受信機もあるということだ。
どれが受信機か知らないが、ともかくどこかで受信して録音している。
もうひとつのマイクは、え〜とえ〜と、
つまりみんなが「マイク」と言われたときにイメージするマイクで
こちらは机に立ててもいいのだが
その収録に撮影がともなうときは竿の先につけて
カメラに写らないあたりの頭上にせり出すようなカタチになる。
手持ちである。ずっとマイクをつけた竿を持ちつづける犠牲者が出る。
竿はなかなか重いもので、これを持って1時間も2時間も同じ位置に
保ちつづけるのは根性がいると思う。
こちらのマイクはしゃべる人が何人だろうが1本のマイクで声を拾うので
遠近感や空気感のある音になる。
こっちは録音機とケーブルで繋いでいる。
大昔は録音機そのものが巨大で値段も高かった。
誰かが200万円の録音機を鳴門の渦に落としたなどという
悲惨な噂をきいたこともある。
最近は録音機が小さくなったかわりに周辺機器が増えたような印象を受けるのは
気のせいかしら。
さて、このところジプシー生活が多い。
この場合のジプシー生活というのはスタジオを離れた収録のことで、
その必需品として私が手配しなければならないのは、
録音をするミキサー1名、件のマイクをひっつけた竿を持ちつづける犠牲者1名に
機材と私。
ジプシー収録は録音環境が出たとこ勝負で、
指定された会議室の窓外でビル工事などやっていると
ああこりゃダメですぜと笑うしかないこともある。
ジプシー収録はスリリングだ。
さらにジプシー収録は後の編集に時間がかかる。
来週もジプシー収録がある。3回もある......
そのうち1回はドレスコードがあるそうだ。
ジーンズ禁止とか上着着用とかいろいろ決まりがあって
まあそれはいいのだが、日ごろ上着を着た姿を見たこともないスタッフが
上着着用しているのを見て笑い出しそうなのが心配だ(さ)