やっぱり大きいスクリーンはいいんですが
血まみれのシーンなんぞがぐっと迫ってくるとたじたじとなるので
どうも私のような弱虫は「映画を見るならDVD」というのが安心なわけなのです。
眼をそらしやすい、好きなシーンは繰り返し見られる、オシッコ行ける etcetc
それにしても今日も血まみれでした、川谷拓三さん。
「さらば映画の友よ・インディアンサマー」は秀逸な映画ですが
ここで川谷さんは狂気の映画ファンを演じています。
大昔、高倉健さんの映画を見てその気になって人を刺したチンピラがいたそうですが
そういう人に近いです。ただチンピラではなく元大部屋の俳優という設定です。
寂しい狂気の映画ファンです。
寂しいんですね、だから映画の話ができる浪人生と知り合うやいなや
モーレツに愛してしまうんです、浪人生を。
モーレツに愛した結果、浪人生が好きになった女の子(浅野温子ですよ)を
情婦にしているヤクザを殺しにいってしまう。
浪人生が「殺してやりたい」って口走ったからなんですが。
その前に見るのが健さんの映画です。ああ、やっぱり...
映画と現実の区別がついていない病気...というか狂気の人です。
武装のしかたも映画で研究しています。
そして最後の死にかたも映画のよう。いや待てよ、これは映画じゃないか、
「さらば映画の友よ」という映画じゃないか
その映画のなかで映画を演じる川谷さんだったんです。
入れ子のようになっているんですね、この構造は面白いです。
そして川谷さん演じる映画狂は映画のなかにいるから
人を殺しに行っても目の前に起こっていることに対して現実感がありません。
指が吹っ飛んでもびっくりしない、痛くもない。
もうどうしようもない、こんな人いないでしょ、という人物を演じさせるのに
川谷さんほど適役はいないかもしれません。
三枚目じゃないんです、天から降ってきた狂気の人です。
「河内のオッサンの唄〜よう来たなワレ」もボコボコに殴られて血まみれです。
河内のオッサンはいい奴なんですが、律儀なくせにアナーキーなので
義によってやくざのところに殴り込みかけたりするわけです。
困ったオッサンです。法律の「法」も「律」もこの人にはない、というか
この映画では河内が無法地帯のようになっています。
いま上映中の映画はふたつとも血まみれのシーンが実は見もので
殴られたときの顔や殴られかた、屋根から転がり落ちたり机から落ちたり
殴られて吊された状態でロープでピュンピュン飛ぶシーン、
劇場版ピーターパンかみたいなシーンや、
挙げればキリがないですが、面白かったです。
2本の映画を較べると、較べなくてもいいんですが、無理に較べると
そうですね〜、「河内のオッサン」の方が川谷さんらしいように思わせておいて
実は「さらば映画の友よ」の病的な映画ファン、狂気の映画ファンが
実は川谷さんの本分ではないでしょうか。
それにしても私は血まみれの川谷さん映画しか見ていないかもしれない。
川谷さんによってヤクザ映画に入門したので
どうしてもそういうことになるんでしょうけれど...あ、ちょっと待てよ
「塀の中の懲りない面々」はどうでしたっけか。
血まみれじゃなかったような気はするのですが、油断できませんね。
ところで、川谷拓三映画祭は12月11日の日曜で終わりです。
銀座(三原橋)のシネパトスです。見とかないと後悔しますぜ(さ)
川谷拓三映画祭:
http://www.cinematopics.com/cinema/news/output.php?news_seq=13265