新潟ー神戸構造帯というコトバを聞いたことがあるでしょうか。
これはですね、新潟から信濃川に沿うようにして南西へ走り
琵琶湖を呑み込むだけでは飽きたらず
大阪湾までまる呑みにして淡路島の端まで届いています。
構造線というような細さではなく、帯のように太いので「構造帯」と呼びます。
最大幅が200kmもある、腹を減らした大蛇のようにどん欲な奴です。
この構造帯の存在は1980年代の後半からいわれていました。
この帯はなにかというと「歪み」です。
地球の表面にはプレートと呼ばれる岩盤があり
ジグソーのように組み合わさっています。
プレートはマントルに乗って動き
ぶつかったり、どちらかがどちらかの上に乗り上げたりしています。
そのときにできるシワが山脈だったりするのですが
だいたい気の長い出来事なので、
一瞬にしてヒマラヤ山脈が出現、なんてことはないです。
そんなに活発なプレートの上では
私たちはとても暮らしていけるものではありません。
起きてみたらエベレスト級の山のてっぺんにいたなんてことになると
高所恐怖症の人はたまったものではありません。しかもパジャマです。
イヤだなんてもんじゃありません。
逆に一瞬にして地の底もやなこったです。
高所恐怖症の人間は同時に閉所恐怖症でもあります。
プレートの活動が年に数センチというのは実に幸いなことです。
ところで、日本列島の東の太平洋の底では
太平洋プレートが年に10センチくらいづつ西に進み
いわゆる東日本と呼ばれる地域の岩盤(北米プレート)の下にもぐりこんでいます。
岩盤が岩盤の下にもぐってしまうのですからすさまじいです。
そのチカラを受けて東日本の地盤は少しづつ西へ押されています。
西日本でもフィリピン海プレートというクッションを通して
似たようなことが起こっています。
(実際はもっと複雑な動きをしているのですが、ざっと書きます)
みんなで素直に押されていれば問題ないわけです。
やがてまた日本列島は大陸とひっついてしまうかもしれないけれど
ひっついたら国境問題とかいま以上に起こるかもしれないけれど
それはかなり先の話ですし、
そのときは国境どころか人類も消えているかもしれません。
なので、こういうひっつき問題は先延ばしにしてもかまわないんです。
問題は素直になれないことなんですね。
みんなで押されて西へ進みたくても
その西に頑固なプレートがいると進めません。
東から押される、西で踏ん張られる。すると真ん中は歪む...
なんだか頑固な両親の間で板挟みになっている子供のように
はさまれて歪んで不良になっている部分が新潟ー阪神構造帯です。
ここはときどき歪みに耐えきれずに爆発します。
或いは息抜きをします。これが地震です。
新潟ー阪神構造帯は国土地理院のGPS観測によって発見され
2001年に報告されました。
地震は悪意ではなく、ましてや天罰でもなく
我々の住む地球のよんどころない事情によって起こる現象なのです。
下は新潟ー阪神構造帯で起こった大きな地震です(さ)
1961年2月2日
長岡地震(M5.2)
1964年6月16日
新潟地震 (M7.5)
1965年8月3日頃から
松代群発地震 (M6.4相当)
1984年9月14日
長野県西部地震(M6.8)
1995年1月17日
兵庫県南部地震 (M7.3)
阪神大震災
2004年10月23日
新潟県中越地震 (M6.8)
2007年7月16日
新潟県中越沖地震 (M6.8)
2011年3月12日
長野県北部地震 (M6.7)