庭は春のためにあると言い切ったのは
成城の山野草の店の店主だったが、本当にそうだ。
春は次々と花が咲くし、春の花は背丈があまり高くなくてかわいいし
庭に藪蚊はいないし雑草もまだ茂らない。
いま咲いている花がなくなるとあとはもう緑の世界で
夏に咲く花や秋の花もあるけれど
これだけいっぺんに咲くことはない。第一、藪蚊がいる。
我が家に棲み着いた藪蚊はかなり強力で
ジーパンの上からでも刺すし、刺されると真っ赤になって腫れる。
文字通りボコボコになってしまう。
しかし水をやらねばならない植木鉢があるので
夏は毎朝ボコボコになっている次第だ。
以前に自宅リフォーム中にこの近所に仮住まいしていた山野草の専門家は
庭の手水鉢に大量のボーフラがいるのを発見して凶暴な気分になり
「増えたところで毒殺するわ」とおっしゃって
本当にスミチオン(強力殺虫剤)流し込んでいたけれど
手水鉢一杯のボーフラを絶滅させたところで藪蚊がいなくなるわけではなかった。
しかし、いまは違う。藪蚊はいないし庭には花がある。
ああ、本当に春の庭はなんてキレイなんだろう。
よくよく見ると無精して咲くのをさぼっている竜田草や
キツネノカミソリなどもいるけれど
その分もまかせてとばかり二輪草や山吹草や梅花カラマツが咲くので
まあいいかと思いつつ日々庭を眺めている(さ)