この世には魔除けともいうべき希少なモルトがある。
レディバーン(Lady Burn)しかり、キンクレイス(Kinklaith)しかり
そしてベンウィヴィス(Ben Wyvis)しかりである。
いずれの蒸溜所もすでに閉鎖されており、稼動期間が短い。
確かレディバーン9年、キンクレイス18年、ベンウィビス12年という短命さだ。
たとえばマッカランなどは政府公認になってからでさえ186年になるし
それ以前は当然ながら非合法な時代があったと思うのだ。
蒸留所が短命ということは生産されたモルトが少ないということだ。
しかも、どれもブレンド用につくられたモルトで
よもやいまになって売れ残りがシングルモルトとして、
しかも三大希少モルトに成り上がってとんでもなく高い値段で取引されようとは
誰も思っていなかったに違いない。
(そうと知っていればもうひと樽どこかに隠しておいてもらいたかった)
何年か前のことだが
私がこの三大希少モルトを集めることができたら
バーテンダーを辞めると言った人がおったくらいで
そういうことを公言するのは若気の至りだと思うが
まあ、そのくらい珍しいモルトなわけなのだ。
上の写真は銀座のバー、
ヒースの酒棚だが
キンクレイスとレディバーンが見える。
実は写真に写っていないが左にはベンウィビスもある。
あの怪しい路地の極小なバー・ヒースに三大希少モルトが存在するのは
いい魔除けだ。
国立ヒースには信じられないくらいうまいベンウィビスが存在したことがあり
レディバーンも存在したことがあったが(すみません、飲みました)
三者が揃い踏みしたことはなかったと思う。
エアコンの室外機の熱風を浴びながらせせこましい路地を通って
ともかくヒースまでたどりつき、
三大魔除けモルトを眺めながら白州のソーダ割りを
乾いた喉に流し込むのがとてもうまい(さ)