以前、といっても2月の半ばだからほんの半月前だ。
財布を落とした話を書いたと思う。
「弧を描くカードの話」という記事があるはずだ。
あるはずだ、などと威張っている場合ではなかったのだ。
財布を落として、警官に拾われてめでたく手元に戻った数日後、
また同じ財布を落としたのだ、私は。
それは恵比寿駅の東口の近くで
そのとき、本来は小銭入れであるその財布には
数万円が入っていた。
ニューヨークから一時帰国した友人とご飯を食べるために
なにを考えたのか札入れを持たずに小銭入れに札を入れて出かけた。
他には相変わらず小銭と大量のレシートとメモリースティック。
幸いにカード類は入っていなかった。
なぜならば、弧を描くカードは再発行の途上にあって
まだ手元に届いていなかったのだった。
カードが入っていないということは場合によっては安心なことだが
私の場合はどうも違う。そうではないのだ。
カードが入っていればこそ、落とし主を究明できるものを
カードがなければ究明のしようがないではないか。
困ったもんだ、やっぱカードは入ってなきゃね...
などと世の中をなめきった思考法のもとで
さすがに財布をあきらめようとしたのだが
なぜか、あきらめきらない妙な安心感があった。
落としてから3日めの朝、
計算によると今日あたりかな〜となんとなく思った。
そして、前回と同じ模様の、いやもとい、同じ書式の
「拾得物のお知らせ」と書いてある渋谷警察からの葉書が
本当にその日に届いたのだった(さ)