立て続けに友人の猫の具合が悪いという話を聞き
そのひとりに会いに行ってみた。
例によってその猫も腎臓の病気で、
腎臓が健全に動いている状態の25%の機能しかないという。
これもセオリー通りであって
猫の腎不全が症状としてあらわれるのは機能の75%を失ってからだ。
腎不全の症状を四段階に分けると、この時点ではまだ第二段階だそうで
友人の猫は毎日獣医に通って点滴を受け
一応は元気になりつつあるらしい。
「例によって腎臓」というには理由があって
猫の生涯はほぼ腎臓病との闘いといわれるほど
腎臓を悪くする猫が多い。
先天的に腎臓の数値が悪い猫も多々いる。
これは猫が砂漠から発生した動物で
あまり水を飲まないという習性による。
砂漠で暮らし、充分な水を飲むことができなかった祖先が
排泄する水分をなるたけ抑える躰の機能を作り上げ
さらに尿を凝縮することによって
「喉が渇いた」という情報が脳に伝わりにくくなっているのだ。
(猫のオシッコが臭いのは凝縮されているせいなのだ)
思えば砂漠で生きるには便利な機能だが
この凝縮されたオシッコがそもそも腎臓を悪くする原因になっている。
しかし、そうはいっても
本人は喉が渇いた意識がなくても水分は必要だ。
体重4Kgの猫ならは一日200ccの水が必要なのであって
生き物は水分を体内に取り込まないと代謝ができない。
もちろん食べものからも水分は取り込んでいるので
200ccの水を猫が毎日飲まないといってヤキモキしなくてもいいけれど
ドライフードを与えている猫については
ドライフードの消化に体内の水分を使うので注意が必要といえる。
丸い氷の入った酒を飲みながらしばし猫談義をした友人の猫は
私の猫よりも半年年上で14歳。
もうひとりの友人の猫は確か10歳くらい。
腎臓の見地から言うとそろそろアブナイ年頃だ。
つまり、猫は年齢とともに「喉が渇いた」情報が伝わりにくくなるので
腎臓病にかかりやすくなる、そういう年頃なのだ。
私の猫は4歳くらいから毎年血液検査をし、
多少腎臓の数値が高かったので予防薬を飲ませつづけ
近ごろでは獣医の薬をやめてサプリメントに切り替え
とにかく体内の余分なものを排泄するように努力しているが
それでも腎臓病は突然やってくるから油断はできない。
10年前、飼っていた墨丸という猫も急性腎不全で死んだ。
元気に走りまわっていた猫が
3、4日の出張中に倒れたというどうしようもない事情で
慢性ではなく急性だったために手のほどこしようがなかったが
それでも獣医は検査をしてくれて、
恐ろしく跳ね上がった腎臓の数値と、
その影響で上がっていた肝臓の数値を見せてくれた。
「犬ならばこの半分、人ならばこの10分の1の数値で死んでいます」
そう教えられて、猫は生物学的に下等動物なのだと実感したが
下等動物ならば悪い数値にめげることなく、ぐずぐずとだらだらと
長生きしてもらいたいと思う(さ)