庭にハイノキがやってきた。
ハイノキは焼いた灰が染料になる。
これを化学的に言うと、ハイノキはアルミニウムを蓄積するので
その化合物であるミョウバンを得ることができるというわけだ。
焼かれた最後の姿で灰の木と呼ばれるのは悲しいが
なにもまるごと焼かなくてもいい。
邪魔になって切り落とした枝を焼けばいいのだと思う。
去年からネジ木の様子があやしくなって枯れた。
ナツハゼも枯れた。
ヒメシャラも上半分が枯れこんできた。
クロモジも枯れた枝がある。
樹木というのは酷暑の夏に弱り果てても生きているが
その翌年に枯れることが多い。
草類のように「もう私は今年は芽を出しませんからねっ」と
さぼるわけにもいかないので気の毒なのだった。
植木屋3号に来てもらった。
黒文字は剪定だけしてこのまま様子を見ることにし
残り3本を新しい木にしよう。
もとあったのより小さいけれど実のついた元気なナツハゼと
葉の多い若いヒメシャラがやってきた。
ネジキはもうやめることにして、さてもう一本をどうするか。
マルバノキかハイノキかの選択だった。
私の庭は松や槇やモッコクなどの値打ちのある木はない。
すべて雑木で、ほとんど落葉樹だ。
東京では紅葉を楽しむというほどは色づかないし
冬はみんな葉を落として本当に寂しいけれど
春、順番に芽吹く姿を見たくてどうしても落葉樹にしている。
さて、マルバかハイか...
ハイノキは葉が細かくて繊細だが半常緑だ。ハンパな奴だ。
マルバの木は葉が大きいが葉の形はかわいい。
ほとんどマルバに決めそうになったが、
マルバはすでにして3メートルの高さだという。
庭というより通路状態の狭いところに最初から3メートルは厳しくないか...
土壇場でハイノキに軍配が上がった。
こうして日曜日の朝、8時半から早起きの植木屋はやってきて
撤去する木のまわりの草花を丁寧にどかし
木を撤去してそこの土を入れ替え、新しい木を植え
さっきどかした草花をまた植え、大量の水を遣り
庭中の木を剪定して13時半ごろ帰って行った。
この植木屋3号は山野草にも詳しく、土にも詳しく
暇があると山へ行き、木や野生の蘭や
カタクリの群落を見て楽しむ人で
おそらく自然というものに造詣が深いのだと思う。
木を植え替えた後にまわりの草花がひっくり返って潰れているということもない。
自分が切り落とした一本の小枝が、下の花を傷つけないかということにまで
ちゃんと気を配る実に得難い人材なのだ。
(なぜ3号かというと、この植木屋に出会うまでふたりをクビにしている)
13時半、植木屋3号が帰ったあとには
枝葉を刈り込んでもらってさわさわと風が通るようになった古い木々と
新顔の3本の木が残った。
ヒョロヒョロで倒れていた
ソバナも
いつの間にか支柱を立ててもらって起き上がっている。
こうなるとそのへんにこまごまと生えている雑草が気になって
少し抜くか...と庭へ降りたら、たちどころに藪蚊に刺されて顔が腫れた。
そういえば庭で植木屋と話こんでいるときは刺されなかったぞ。
植木屋は体内で蚊よけ物質を合成しているのだろうか...(さ)
*写真上は花をつけたハイノキ
中ほどの写真は暴れん坊の
フサザクラを選定中の植木屋3号。
なぜこれほど庭木に向かないものを植えたがる客がいるのかと
内心思っているに違いない。
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