春はあけぼの...ではない。春はタケノコである。
日ごろ、山芍薬がツボミをつけただの
二輪草が咲いただのと喜んでいるが
京都からタケノコをもらうとそれどころではない。
帰ってコートを脱ぐなり、
真実、着替えもせずにコートを脱いだだけで
寸胴に水を張り、タケノコを茹ではじめる。
タケノコと松茸は時間勝負なので
早ければ早いほどいい。
タケノコはタワシで洗って皮を一枚だけ剥いて
根本のイボイボを包丁でこそげ落として
先端を斜めに切り落とし
さらに皮の部分に縦に包丁を入れて水から茹でる。
昨夜は22時頃に帰宅して茹ではじめ
寝る前に火を止めたので2時間半くらい茹でただろうか。
(関東の筍ならもっと長く茹でる。新しいものはもっと短いが)
そのまま放置して、今日になって皮を剥いて
午後から出汁で1時間余り煮て
塩と淡口醤油でごく薄い味をつけてさらに1時間。
煮るというよりもトロ火で温度を一定に保てばいい。
根本の部分はタケノコ飯にして
今日の晩ご飯はタケノコ大会だったが
これが本当に我ながらうまかった。
関東のタケノコでも時間をかけることによって
糠も何も使わずにちゃんやわらかくと茹で上がるし
そのへんのことをさせたら我ながらうまいもんだと思ってはいるが
それにしても京都のタケノコのおいしさときたら
思わず夜空を仰いで吠えたくなるほどだった。
京都のタケノコは繊維の1本1本がしゃんとしていて
繊維と繊維の間に空白があるような
何といっていいか、
つまり、グレン・グールドのピアノの音のような
得も言われぬ清潔感と情感がありますね(さ)